エアパークCooでは、ランディング場へのアプローチ(着陸進入方法)に「場周アプローチ」を採用しています。
「場周アプローチ」とは、ランディング場の周囲を決められた方向に一方通行で着陸進入経路をとることによって、混雑時にも安全かつスムーズに着陸できる進入方法のことです。この方法は飛行機やグライダーが飛行場の滑走路に進入する際に行っている方法と同じもので、ドイツをはじめヨーロッパ諸国ではパラグライダーやハンググライダーでもこのアプローチ方法を採用しています。
「場周アプローチ」でのランディングでは、
- 高々度フライトの初心者でも、少ないフライト本数で高度感覚が身につく。
- 直線飛行を長く使った進入経路の為、地上近くで気流の乱れによる翼の潰れが起きにくい。
- 混雑時にも、重大事故に結びつく恐れのある低高度での空中接触の危険性を回避できる。
・・・などの長所があります。
一般的なアプローチ
ターゲットに対して指定の高度調節空域内で(赤い点線部分)で、左360゜旋回で高度を調節し、追い風、横風、向い風の3辺の直線コースを通過して進入します。この時、各辺をつなぐターンはスムーズな左旋回で行い、進入路上では一方通行となります。
これが左場周アプローチと呼ばれ、場周アプローチの基本形です。フライトエリアのローカルルールに特に指示の無い場合、左場周アプローチですが、ランディング場の地形や周囲の障害物で逆サイドからの進入の方がより安全な場合は、旋回方向を右にした右場周を着陸進入方法としているエリアもあります。
次は、エアパークCooエリアでの実際のランディングアプローチを見てみよう!
エアパークCooエリアでのランディングアプローチ
【A】東メイン・ランディング場
風向によって2種類の場周アプローチ・パターンがあります
東~南東~南風(0~2or3m/秒までの風)「最もよく吹く風」
- ランディング場に進入するパイロットは、高度調節空域Aに少なくとも100m前後で移動して、場周経路に進入する順番(優先権)を確認する。※ソアリングに夢中になりすぎて低高度ギリギリでランディング場に滑り込むのはマナー違反!同時進入の場合、ランディング場に進入する優先権はありません。余裕をもって高度調節空域に向かいましょう。
- 高度調節空域で同高度になりそうな他機がいる場合、そこに進入する前に翼端折り+アクセル+ターン等で高度差をつけておくこと。高度調節空域では必要な回数の左360゜旋回で降下します。※風が吹いている時は、旋回が風下方向へ楕円になり流されやすいので1旋回毎に高度調節空域から出ない様にするのがコツ!この時、旋回のバンクは30゜程度が目安。
- そして、ターゲットへの見下ろし角度が約30゜(高度40m程度)になったらフォローでダウンウインド・レグを通過します。
- 見下ろし角度約20゜(高度20~30m)になる頃に、左ターンでランディング場を左前方に見る飛行コース(ベース)を通過します。
- 次のターンでファイナル・アプローチに進入しますが、この時の高度調節はこの直線飛行上のターンをするタイミングを変える事で可能です。ターゲットへショートしそうな時は早めにターンし、オーバーしそうな時は遅くターンをしてベースの長さを調節します。
- ファイナル・ターン後は、なるべく直線飛行を長くとりスタンディング・ポジションで着地に備えます。ファイナル・ターンの後に高度が高い場合、スピードの変化(最良滑空速度~最小沈下速度)で滑空比を変化させるか、左右1回だけのS字ターンで調節しましょう。
- 360゜旋回での高度調節に慣れていない方は、高度調節空域Bでの8の字旋回で高度を下げましょう。エアパークCooの講習生も初めはここでの高度調節から練習を開始します。この場合ランディング・アプローチは、ダウンウインド・レグの一辺を除いたベースとファイナル・アプローチの2辺のみとなります。
西よりの風(山からの吹き下ろしの風)「夕方に吹く風」
東側エリアでのフライトでも、気温の低下する夕方は、山の斜面からの吹き下ろしで、ランディング場付近では「西よりの風」が吹く場合があります。この時、ランディング・アプローチは右場周となります。
強風(4m/秒以上の風)
場周アプローチは、強風時にはダウンウインド・レグで風下に流され過ぎショートランディングする可能性が高くなる為、4m/秒以上の風の時は、場周アプローチは使いません。風に正対しターゲットを横に見る位置で、偏流を使った8の字で高度を調節して進入します。
東メイン-LD「様々な場合の対応策」
ケース【1】「もし高度が高かったら・・・」
高度調節空域で高度が適当と判断しダウンウインド・レグに進入したが、予想より高かった時、又は高度が落ちない時はダウンウインド・レグでの飛行コースをランディング場から遠ざけるようにする。
ベース上で高い場合は、ベースを長くとり、ファイナルターンを遅めにする。
ファイナル・アプローチ上で高い場合はベース上を逆行する事は、後続の機体と向き合い危険なので、最悪1回のS字ターンの範囲内で収まる高度で進入する。
ケース【2】「もし高度が低かったら・・・
高度調節空域で高度が適当と判断し、ダウンウインド・レグに進入したが、予想より低かった時、又は風によって急激に降下した時はダウンウインド・レグでの飛行コースをランディング場に近づけるようにする。
ベース上で低い場合は、ベースを短くし、ファイナルターンを早めにする。
ダウンウインド・レグで最悪ベースに入る高度も無い場合、すぐにランディング場に近づき風に合わせて進入する。
ケース【1】【2】のように、ダウンウインド・レグとベースでかなりの高度調節が可能なので慣れないうちは、高度調節空域からやや高めに離脱して、上記の方法で高度を合わせアプローチするトレーニングをしましょう!
ケース【3】「同時進入になりかけたら・・・」
高度調節空域に向かおうとしている時に、同時進入になりそうな他機がいる場合は360゜旋回を開始する前に、翼端折り等の降下手段で高度差をつける。
高度調節空域では、既にダウンウインド・レグに進入する順番が決まるように、高度の低いパイロットから早く決断して降下手段をとるのがコツ!
ケース【4】「それでも、同時進入になりかけたら・・・」
空中接触を起こさないように声を掛け合い意思表示をして、どちらか一方のパイロットは、最適高度よりもやや高くダウンウインド・レグを通過してランディング場を左右に分けて使用する。
この時、先にベースに進入したパイロットは、絶対にベースを高度が高かった場合も逆行してはならない。又は、両パイロット共にターゲットは狙わない事!
【B】東サブ・ランディング場
通常のフライトでは、初級グライダーの性能でも充分にメインランディングへ「安全な高度で余裕をもって」到達できます。しかし、東風の下降風が強い場合や、ソアリングに夢中になり過ぎてランディング場にもどる判断が遅れてしまった場合は、サブランディング場へのランディングを決断しましょう。
特にサブランディング場上空を高度100m以下で通過した場合メインランディング場との間には車道と電線があり、その横はリンゴ畑で大変危険です。(安全にアウトサイドできる場所が無いため)
地形的にもこの間は風が収束する部分で、地上50m以下は沈下がとても大きくなります。
東サブランディング場へのランディング・アプローチは、周囲三方を林に囲まれているため、場周アプローチをとらず、一方通行の指定のアプローチ・コース上を飛行して進入して下さい。
また、写真ではわかりにくいのですが、サブランディング場周辺は段差が1m近い高低差の部分もありますので、必ずフライト前に下見をして下さい。
【C】西メインランディング場
真壁町の城址公園の南側に田んぼです。
お堀など土手がありので、注意して降ろしてください。